骨粗鬆症
骨粗鬆症とは
骨量(骨の量)が減り骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
原因
からだの中の骨は生きていて、同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗しょう症は、このバランスが崩れることにより、骨がもろくなってきます。女性ホルモンの減少と関わりあり、特に閉経後の女性に多くみられます。食生活などの生活習慣、他の病気、お薬が引き金となり、骨粗鬆症となる場合もあります。
エストロゲンと骨密度
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、思春期に急増し、40歳台から低下します。50歳台で閉経すると、60歳代以降は卵巣からのエストロゲンが分泌されなくなります。エストロゲンは骨のバランスを整える働きがあります。エストロゲンが減少すると、破骨細胞が抑えられず、骨形成より骨吸収が速くなり骨密度が低下します。
骨粗鬆症の様々な原因
閉経、やせ(低BMI)、運動不足、家族性(大腿骨骨折の家族歴)、栄養摂取不足(カルシウム、ビタミンD・K)、喫煙、過度のアルコール摂取、ステロイドの使用、糖尿病、慢性腎臓病、閉塞性肺疾患 など
症状
骨粗鬆症になっても痛みはありませんが、転んだりすると骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、せぼね、手首、太ももの付け根の骨などです。骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。ご高齢の患者さんは、その痛みにより活動性の低下につながります。背中や腰の痛みの後に、背中が丸くなったり身長が縮んだりします。せぼねの骨折でも、痛みがない場合があります。
診断
- 骨密度検査:骨の量や成分(骨密度)を測定します。
- 血液検査:骨粗鬆症がどのようなタイプなのかを調べることができます。
これらの検査により診断しますが、骨粗鬆症の治療開始後も治療効果や副作用の確認のために定期的に検査を行います。
骨粗鬆症の予防
日光浴でビタミンDを増やす
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、食べ物から取るほかに、紫外線を浴びることで増やすことができます。適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。冬は30分~1時間程度の散歩、夏であれば暑さ対策をして30分程度過ごしましょう。運動をかねて積極的に外出する機会をつくって、上手に紫外線と付き合っていきましょう。
骨を強くする運動をする
骨は、負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり強くなる性質があります。 散歩を日課にしたり、階段の上り下りを取り入れるなど、日常生活のなかでできるだけ運動量を増やしましょう。骨折予防に有効な運動は、ウォーキング、ジョギングなどがありますが、ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切です。
骨粗鬆症の食事指導
栄養素 | 推奨量 |
---|---|
カルシウム | 食品から1日700―800mgの摂取が望ましい。プリメント、カルシウム薬を使用する場合には、過剰摂取に注意⇒高カルシウム血症 |
ビタミンD | 10-20μg |
ビタミンK | 250-300μg |
上記の栄養素の他にエネルギーなどバランスの良い食事を心掛けましょう。食塩、カフェイン、アルコール、リンの過剰摂取を避けましょう。
カルシウムを多く含む食品
食品 | 1回使用量(g) | カルシウム(mg) |
---|---|---|
牛乳 | 200 | 220 |
スキムミルク | 20 | 220 |
プロセスチーズ | 20 | 126 |
ヨーグルト | 100 | 120 |
干しエビ | 5 | 355 |
ワカサギ | 60 | 270 |
シシャモ | 50 | 175 |
豆腐 | 75 | 90 |
納豆 | 50 | 45 |
小松菜 | 80 | 136 |
チンゲン菜 | 80 | 80 |
ビタミンDを多く含む食品
食品 | 1回使用量(g) | ビタミンD(μg) |
---|---|---|
きくらげ | 1 | 4.4 |
さけ | 60 | 19.2 |
うなぎのかば焼き | 100 | 19.0 |
サンマ | 60 | 11.4 |
ヒラメ | 60 | 10.8 |
イサキ | 60 | 9.0 |
タチウオ | 60 | 8.4 |
カレイ | 60 | 7.8 |
メカジキ | 60 | 6.6 |
なまり節 | 30 | 6.3 |
ビタミンKを多く含む食品
食品 | 1回使用量(g) | ビタミンK(μg) |
卵 | 50 | 7 |
納豆 | 50 | 435 |
ほうれん草 | 80 | 216 |
小松菜 | 80 | 168 |
にら | 50 | 90 |
ブロッコリー | 50 | 80 |
サニーレタス | 10 | 16 |
キャベツ | 50 | 39 |
カットわかめ | 1 | 16 |
のり | 0.5 | 2 |
治療
骨粗鬆症の治療薬は様々なものが使用できるようになり、患者さんにあったものを使用します。骨粗鬆症の治療薬は、以下の3種類に分類されます。
骨の吸収(骨が溶ける)を抑える薬
ビスフォスフォネート製剤(リセドロン®、アレンドロン®など)、SERM製剤(ビビアント®、ビビアント®など)、デノスマブ製剤(プラリア®)
骨の形成(骨を作る)を助ける薬
副甲状腺ホルモン製剤(テリボン®、フォルテオ®、オスタバロ®など)
吸収と形成の骨代謝を調節する薬
スクレロスチンモノクローナル抗体製剤(イベニティ®)
骨粗鬆症治療は根気よく
骨粗しょう症の治療は、長期にわたり継続する必要があります。痛みが消えた、なかなか骨密度が上がらないからと、自己判断で薬を中断しないようにしましょう。様々な薬がありますので、薬の服薬や使用が難しい場合は、医師、看護師、薬剤師に相談しましょう。健康的な生活を心掛け、自分にあったお薬を使用することで、”骨太“の健康な日々を送りましょう。
骨粗鬆症ドック
当院では、骨粗鬆症につながるような状態を確認する骨粗鬆症ドックを行っています。
以下のような方は骨粗鬆症ドックを受けられることをお勧めします。
- 40歳以上で、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)などがある方。
- 骨粗鬆症の家族歴のある方。
- 年齢とともに背が低くなっている方。
- 骨粗鬆症が心配の方。
当院の特徴
- 骨粗鬆症の診療経験が豊富な脊椎脊髄外科医、整形外科医が診療を行っています。
- 診断に必要な骨密度検査装置などの検査機器を備えており、早期の診断・治療開始が可能です。