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殿部の末梢神経障害

梨状筋症候群

井須豊彦、金景成監修『完全図解坐骨神経痛』(エクスナレッジ)より引用
イラスト/ガリマツ

 坐骨神経は、骨盤から出るところで梨状筋という筋肉の下を通ります。この梨状筋は通常は柔らかいのですが、負担がかかるなどが原因となり梨状筋が硬くなると、殿部に痛みを起こしたり、坐骨神経を圧迫して下肢のしびれを起こしたりします。このような病気を梨状筋症候群といいます。

症状

 殿部の外側あたりの痛みが主体ですが、坐骨神経の圧迫による坐骨神経痛により下肢後面にかけてしびれや痛み(坐骨神経痛)が出ることもあります。長く座っていると症状が強くなり、梨状筋と骨盤の間を走行する坐骨神経が圧迫されることによります。また、歩くと楽になる傾向があります。

診断

 梨状筋に一致する部位を圧迫すると圧痛があり、また下肢後面に痺れや痛みが誘発されるチネル徴候が確認できるときがあります。MRIでは梨状筋が肥大している所見が確認できる場合がありますが、多くの場合は異常を認めることは困難です。梨状筋に局所麻酔薬を注入する梨状筋ブロックによって症状が軽くなることが、診断の大きな手掛かりになります。

治療

 座位の際に殿部を圧迫しないように心がけるなど、症状が誘発されるような日常動作を避けるようにします。筋緊張緩和剤などの薬物療法や、リハビリテーションにより梨状筋ストレッチを行います。症状が強い場合には、梨状筋ブロックを行います。これらの治療で効果が乏しい場合には、手術を行うこともありますが、手術が必要となることは多くはありません。

上殿皮神経障害・中殿皮神経障害

井須豊彦、金景成監修『完全図解坐骨神経痛』(エクスナレッジ)より引用
イラスト/ガリマツ

 上殿皮神経は腰骨の神経に由来し、殿部頭側の感覚を支配します。上殿皮神経が、ズボンのベルト付近で腸骨を乗り越えるあたりで、筋膜や腸骨により圧迫されると疼痛(腰痛)が引き起こされます。一方、中殿神経は仙骨の神経に由来し、上殿皮神経と同様に殿部の感覚を支配します。中殿皮神経は、仙骨の背面からでて、仙腸関節の背側の靭帯(後仙腸靭帯)と大殿筋の中を走行するところで圧迫されると殿部の下の方の痛みが出現します。

症状

 殿部痛(おしりの痛み)は、座位、立位、歩行で出現し、悪化する傾向があります。疼痛が殿部に留まらずに大腿部(もも)後面に広がる場合があります。歩行で悪化する場合があり、腰部脊柱管狭窄症の間歇性跛行と症状が似ているので注意が必要です。

診断

 上殿皮神経と中殿部神経の絞扼部位を指で圧迫すると痛みが誘発されるチネル様徴候、上殿皮神経ブロックによる鎮痛効果により診断がなされます。MRIなどの画像検査による診断は困難です。

治療

 痛みが起こる姿勢を避け、痛みが強い場合には安静にします。病態から各種の投薬(鎮痛剤など)を使用します。症状が強い場合には、上殿神経や中殿神経にブロックを行います。これらの保存的治療にて改善が得られない場合には、外科的治療(殿皮神経の神経剥離術)を行います。

当院の特徴

  • 腰痛・殿部痛・殿部の末梢神経障害に対し経験豊富な脊髄外科専門医が診療を行っています。
  • 診断に必要なMRIを備えております。
  • 機能回復にリハビリテーションが可能です。
  • 手術治療が必要な場合には、連携医療機関へご紹介します。

 

NHK『今日の健康』(2022年3月放送)に出演し、下肢の絞扼性末梢神経障害について解説しました。詳しくは NHK健康チャンネルHPをご参照ください。

 NHK健康チャンネル

 

大正製薬 専門医によるヘルスケアアドバイス『疾患ナビ』(2023年12月)で、下肢の神経痛について解説しました。詳しくはHPをご参照ください。

疾患ナビ (taisho-kenko.com)

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