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頭部外傷(頭のけが)

脳震盪

 強く頭部を打撲することで、脳が頭蓋骨の中で揺さぶられることにより、一過性に脳の機能が低下してしまう状態です。一過性(数分)の意識消失、記憶障害(健忘)、頭痛、吐気、嘔吐、めまい、ふらつきなどが出現します。CTやMRIを撮影しても、頭蓋骨の内部には出血などの異常は認められません。脳震盪と思われても、画像で頭蓋骨の内側に少量の出血をしている場合もありますので、頭のCTやMRIは撮影することが望ましいです。

 ラグビー、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツでは、競技により頭部を打撲する機会が多く、脳震盪や、その他の中枢神経系(脳、脊髄)の外傷に関する注意喚起がなされています。そして、脳震盪を起こしたあとに、短期間(数日~数週)のうちに再度頭部を打撲することにより、例え初回が軽症であっても2回目には重症化してしまう恐れがあります(セカンドインパクト症候群)。そのため、脳震盪を起こした後にすぐに激しい練習や競技に復帰するのではなく、最初は軽い練習から開始し、選手の状態を慎重に観察し問題なければ徐々に強度を上げ、数日から数週間かけて段階的に競技に復帰することが求められています。各協会より、その指針が提示されていますので、競技をされる場合には一度は目を通されることをお勧めします。詳しくは各協会の指針をご参照ください。

日本ラグビーフットボール協会 ”ラグビー外傷・障害対応マニュアル”

日本サッカー協会 ”サッカーにおける脳震盪に対する指針”

全日本柔道連盟 ”柔道の未来のために 柔道の安全指導”

頭蓋骨骨折

 頭部を強く打撲することにより、頭蓋骨が骨折するときがあります。頭蓋骨骨折は線状のものや陥没するタイプなどがあります。頭蓋骨骨折単独の場合は基本的には経過を診ることができますが、頭皮の損傷を損傷し骨折部が露わになっている場合、陥没骨折で陥没の程度が強く脳を圧迫している場合などには手術が必要な場合があります。

外傷による急性頭蓋内出血(血腫)

 強く頭部を打撲することにより、頭蓋骨内側の動静脈が切れ出血あるいは血腫を形成する場合があります。頭蓋骨と脳の間には、外側から”硬膜”と”くも膜”があり、出血(血腫)の位置により以下のように分類されます。それぞれ単独の場合もあれば、合併する場合もあります。

  • 急性硬膜外血腫: 頭蓋骨と硬膜の間にできた血腫で、頭蓋骨骨折を伴うことが多いです。
  • 急性硬膜下血腫: 硬膜とくも膜の間の血腫。
  • 外傷性くも膜下出血: くも膜と脳の間の出血。量が多いと血腫となります。
  • 脳挫傷:脳の内部の血腫

 症状は、意識障害、頭痛、嘔気、嘔吐、けいれん発作が出現し、脳の圧迫や損傷の部位により手足の力が入りにくい、言葉が出にくいなどの症状も加わる場合があります。出血や血腫の量が増えると重症化する傾向にあります。また、最初は血腫が少量であり軽症であっても、徐々に血腫が大きくなり重症化し、対処の遅れにより致命的な状態となる場合があるので注意が必要です。出血や血腫の量が少なく軽症の場合には、安静と点滴治療による治療を行いますが、血腫の量が多い重症の場合には開頭して血腫を摘出する手術を行います。脳損傷がある場合には、意識障害、言葉がでにくい、手足の脱力などの症状が後遺症として残る可能性があります。

 頭部外傷に伴い、首の神経(頸髄)や骨(頚椎)にも傷がつく場合があります(頚椎損傷および頸髄損傷)。頭をぶつけた後に、頚部の痛みや手足の痺れ、脱力が出現しているならば、頚部の画像検査も併せて行います。詳しくは、”頸髄損傷および頚椎損傷”の項をご参照ください。

慢性硬膜下血腫

 頭部を打撲した後に、直後には問題がなくても、硬膜と脳の間に徐々に血腫が貯留する病気です。ご高齢、男性、アルコール飲酒、血液をさらされにする薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を服用しているなどの方に多い傾向があります。頭部を打撲してから数週から数か月かけて、血腫が徐々に増え脳を圧迫すると、頭痛、物忘れ、手足の力が入りにくいなどの症状が出てきます。血腫は片側であったり両側の場合もあります。治療は、血腫の量と症状の有無によって変わり、血腫が少量であれば内服治療で、血腫の量が多くなり症状があれば手術を行います。

当院の特徴

  • 頭部外傷の診療の経験が豊富な脳神経外科専門医が診療を行っています。
  • 診断に必要なレントゲン、MRIを備えており、早期診断、治療が可能です。
  • 手術含めた緊急の治療が必要な場合には、提携医療機関をご紹介します。
  • 機能回復のためのリハビリテーションが可能です。

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